2012年6月29日金曜日

イギリスのマドリガルを楽しむ

来年5月の演奏会に向けて、今、イギリスのマドリガルを練習している。
ほぼ半世紀前の学生時代に、モンテヴェルディのマドリガルを歌って以来のことだ。

マドリガルは西洋音楽にあって、バロック以前のイタリアで誕生した世俗的な多声歌曲である。ミサ曲やモテットなど宗教音楽がラテン語によるのに対して、それぞれの母語によるものであるから、世俗的であると同時により民衆のものでもある。詩的イメージも牧歌的なものが多く、’マドリガル’の名の由来も「家畜の群れ」の意味の'mandria'からと考えられたこともあるが、語源ははっきりしないらしい。女性への愛や、自然の美しさを歌ったものがおおいが、内容はそれに留まらなく、多様である。昔歌ったモンテヴェルディのマドリガル、’lasciate mi morire'「私を死なせて」や'baci'「口づけ」が今でも口をついて出てくる。

以前、イギリスのキングズ・シンガーズ'King's Singers'による「マドリガル・ヒストリー・ツアー」がTVの有料チャンネルで放映され、改めてマドリガルの魅力に触れることが出来た。YouTubeにこのキングズ・シンガーズが歌うマドリガルがアップロードされているので、容易に楽しめる。今練習しているイギリスのマドリガルはポピュラーなものばかりで、ステージ第1曲目に歌う'Now is the month of maying'(T.モーリー曲)は「マドリガル・ヒストリー・ツアー」のタイトル曲として使われている。

マドリガル盛時の16,7世紀にはイギリスにおいても盛んになり、数多くのマドリガルが作られている。イタリアのものとは異なり、あまり技巧的でなく、歌詞も素朴なものが多く、和声も美しいので、親しみやすい。マドリガルは、キングズ・シンガーズがそうであるように、本来は5,6名の小さなアンサンブルで楽しむものかもしれないが、混声合唱で歌っても何ら違和感がない。和声の楽しさを味わうためにも合唱団の愛唱曲に入れたいものだ。

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